世界一の人口密度は?超過密都市ランキングとリアルな暮らし

社会

人口密度とは、1平方キロメートルあたりに何人の人が住んでいるかを表す数字です。この数字が大きいほど、その場所はたくさんの人でにぎわっていることになります。

世界には、とても狭い場所にたくさんの人が暮らしている「超過密都市」があります。そんな都市では、人々はどのように生活しているのでしょうか?

この記事では、2024年に発表された最新データをもとに、世界で最も人口密度が高い都市ランキングと、そこでの暮らしぶりをご紹介します。

なお、この記事は2024年に発表された最新データ(情報源:国連統計、各都市の公式発表、世界銀行データ)をもとに作成しました。

【2024年最新】世界一の人口密度 都市ランキングTOP10

2024年3月に発表された最新データによると、人口300万人以上の大都市の中で、人口密度が最も高い都市はバングラデシュの首都ダッカでした。

以下、世界の超過密都市ランキングTOP10を見ていきましょう。

順位 都市名 国名 人口 面積(km²) 人口密度(人/km²)
1位 ダッカ バングラデシュ 10,278,882 305 33,649
2位 キンシャサ コンゴ 16,316,000 600 27,193
3位 カラチ パキスタン 10,193,483 438 23,273
4位 マニラ フィリピン 13,484,462 620 21,767
5位 ムンバイ インド 12,478,447 603 20,694
6位 ジャカルタ インドネシア 11,350,238 661 17,165
7位 デリー中心部 インド 9,129,098 567 16,101
8位 東京23区 日本 9,792,550 628 15,604
9位 ソウル特別市 韓国 9,386,034 605 15,509
10位 スーラト インド 6,936,534 462 15,027

 

人口密度比較グラフ(人/km²)

ダッカ 33,649
キンシャサ 27,193
カラチ 23,273
マニラ 21,767
ムンバイ 20,694
ジャカルタ 17,165
デリー中心部 16,101
東京23区 15,604
ソウル特別市 15,509
スーラト 15,027

 

このランキングからわかるように、アジアの都市が人口密度ランキングの上位を占めています。特に、バングラデシュのダッカは、1平方キロメートルあたり3万人以上が暮らす超過密都市であり、他の都市と比べてもその密度は突出しています。

 

ランキングから見えること

上位10都市のうち、先進国の都市は日本の東京23区と韓国のソウル特別市だけです。これは、急速な都市化が進む発展途上国で人口が集中している現状を示しています。また、面積が小さい都市ほど人口密度が高くなる傾向があります。

【超過密都市の実態】世界一の人口密度・ダッカの暮らし

バングラデシュの首都ダッカは、1平方キロメートルあたり3万人以上が暮らす世界一の超過密都市です。

この密度は、東京23区の約2倍、ニューヨーク市の約3倍という驚異的な数字です。では、そんなダッカの日常生活はどのようなものなのでしょうか?

<基本情報>

  • 人口:約1,028万人
  • 面積:305 km²
  • 人口密度:33,649人/km²(世界一)
  • 国:バングラデシュ(南アジア)
  • 特徴:英誌エコノミストの「世界で最も住みやすい都市」ランキングでワースト2位に選ばれたことがある

 

① 交通渋滞と移動の困難さ

ダッカは世界で最も交通渋滞が深刻な都市の一つとして知られています。市内の道路は常に人と車であふれ、特にラッシュ時には身動きが取れないほどの混雑が発生します。わずか数キロの距離を移動するのに数時間かかることもめずらしくありません。

市民の主な交通手段は以下のとおりです:

  • リキシャ(人力車):市内に100万台以上あると言われる伝統的な移動手段
  • CNG:圧縮天然ガスを燃料とした三輪タクシー
  • バス:常に超満員で、スリなどの危険もある

ダッカの通勤事情

ダッカ市民の平均通勤時間は約3時間と言われています。これは東京(約1時間)やニューヨーク(約1.5時間)と比べても非常に長く、多くの市民は朝早く家を出て、夜遅くに帰宅する生活を送っています。

② 住宅事情と生活空間

ダッカの住宅事情は厳しく、多くの人々が極めて狭いスペースで生活しています。特に低所得者層が住むスラム地域では、一家族が6〜8平方メートル程度の部屋で暮らすことも珍しくありません。

また、住宅不足から家賃が高騰しており、中流家庭でも収入の30〜40%を住居費に充てています。多くの家庭では、キッチンやトイレを複数の家族で共有することが一般的です。

③ インフラと公共サービスの課題

ダッカでは急速な人口増加に対してインフラ整備が追いついていません。特に以下の課題が市民生活に大きな影響を与えています:

  • 水供給:市内の多くの地域で水道水が不足し、特に乾季には水不足が深刻化
  • 電力供給:計画停電が頻繁に行われ、特に夏季には1日数時間の停電が一般的
  • 廃棄物処理:ごみ収集システムが不十分で、路上にごみが散乱することも

④ 治安と政治情勢

日本の外務省はダッカを含むバングラデシュ全土をレベル1(十分注意してください)と指定しています。主な治安上の問題点は:

  • テロの脅威:過去に外国人を標的としたテロ事件が発生(2016年のダッカ襲撃テロ事件では7名の日本人が犠牲に)
  • デモやストライキ:政治的デモや抗議活動が頻繁に行われ、突然の交通マヒが発生
  • 一般犯罪:スリや詐欺、ぼったくりなどの被害が多い

外国人の安全対策

ダッカに滞在する外国人は以下の点に注意しています:

  • 夜間の単独外出は避ける
  • 貴重品は目立たないように持ち歩く
  • 公共交通機関よりも配車アプリを利用する
  • 政治デモなどの集会には近づかない

⑤ 経済と仕事

バングラデシュ経済は急速に成長していますが、所得格差も大きい社会です。ダッカの主な産業は衣料品製造で、多くの国際アパレルブランドの工場があります。

バングラデシュの平均月収は約3万2,000タカ(約4万円)ですが、ダッカでは生活コストが高いため、この収入では快適な生活を送るのは難しいのが現状です。多くの人々は副業を持ったり、家族全員が働いたりして生計を立てています。

⑥ 文化と人々の暮らし

過酷な環境にもかかわらず、ダッカの人々は温かくフレンドリーな性格で知られています。家族の絆が強く、休日には公園や広場で家族と過ごす姿が見られます。

また、伝統的な祭りやイベントも大切にされており、特にイスラム教の祝日や季節のお祭りには街全体が活気づきます。食文化も豊かで、スパイスを効かせたカレーやビリヤニなどの料理が日常的に楽しまれています。

ダッカに暮らす日本人の声

「最初は混雑や交通渋滞、インフラの不便さに戸惑いましたが、人々の温かさや素直さに触れるうちに、この街の魅力を感じるようになりました。確かに生活は大変ですが、人と人とのつながりの強さは日本では経験できないものがあります。」(ダッカ在住4年目の日本人駐在員)

まとめ

人口密度 世界一の都市ランキングの結果は以下のとおりでした。

  1. ダッカ(バングラデシュ)
  2. キンシャサ(コンゴ)
  3. カラチ(パキスタン)
  4. マニラ(フィリピン)
  5. ムンバイ(インド)
  6. ジャカルタ(インドネシア)
  7. デリー中心部(インド)
  8. 東京23区(日本)
  9. ソウル特別市(韓国)
  10. スーラト(インド)

世界一の人口密度を持つダッカでは、交通渋滞や住宅不足、インフラの課題など、多くの問題を抱えながらも、人々は知恵と工夫で日々の生活を送っています。

世界の人口は今後も増加し続け、2050年には約97億人に達すると予測されています。特にアジアやアフリカの都市部では、さらなる人口集中が予想されています。

超過密都市の課題を理解し、解決策を考えることは、私たちの未来の都市づくりにとって重要な視点となるでしょう。東京のような先進国の高密度都市が比較的高い生活の質を維持できているのは、計画的な都市開発と効率的な公共サービスがあるからこそです。

人口密度の高さは必ずしも悪いことではありません。適切な対策と工夫があれば、限られた空間でも多くの人々が快適に暮らせる持続可能な都市を実現できるはずです。世界の超過密都市の「今」は、私たちの都市の「未来」を考えるヒントになるのではないでしょうか。

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