世界一安全な国は一体どこなんでしょうか?
そりゃ、日本でしょう!!っていう人もいると思いますが、
どうですか?殺人事件のニュースは日常茶飯事ですよね。
さてさて、それでは世界を見渡してみると、どの国が最も安全なんでしょうか?
いろいろ調べると、フィンランドだという情報もありますが、実情はどうなんでしょうか?
ということでもう少し詳しくデータを見てみました。
世界一安全な国トップ20!フィンランドがNo1??
世界各国の安全に関するランキングが実はあります。
それは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)による国際競争力レポート
このレポートの中で、「安全」に関する各国の評価結果の一覧が2018年版に掲載されました。
その結果によるとフィンランドが第1位となりました。
日本は第10位となっています。
上位20位を以下に掲載します。
No. | Country / Economy | 国名 | Value(0–100) |
1 | Finland | フィンランド共和国 | 97.5 |
2 | Singapore | シンガポール共和国 | 95.8 |
3 | Iceland | アイスランド共和国 | 95.3 |
4 | Oman | オマーン国 | 94.6 |
5 | Switzerland | スイス連邦 | 93.7 |
6 | New Zealand | ニュージーランド | 92.4 |
7 | Luxembourg | ルクセンブルク大公国 | 92.1 |
8 | Hong Kong SAR | 香港 | 91.6 |
9 | United Arab Emirates | アラブ首長国連邦 | 91 |
10 | Japan | 日本 | 90.9 |
11 | Norway | ノルウェー王国 | 90.8 |
12 | Portugal | ポルトガル共和国 | 90.5 |
13 | Austria | オーストリア共和国 | 90.3 |
14 | Estonia | エストニア共和国 | 90.1 |
15 | Qatar | カタール国 | 90.1 |
16 | Australia | オーストラリア連邦 | 89.5 |
17 | Netherlands | オランダ王国 | 89.4 |
18 | Spain | スペイン王国 | 89.2 |
19 | Bahrain | バーレーン王国 | 89 |
20 | Canada | カナダ | 88.7 |
World Economic Forum, Global Competitiveness Report 2018 securityをもとに作成
イギリスの経済平和研究所(Institute for Economics and Peace:IEP)が公開した2020年版の世界平和度指数(GLOBAL PEACE INDEX 2020)のランキングは以下のように掲載されています。
世界平和度指数は24の評価項目で比較しており、そもそも世界競争力レポートのランキングのものさしが違うので、結果が異なっています。
世界平和度指数ではアイスランドが1位、世界競争力レポートでは第1位となったフィンランドが14位となっており、結果がかなり違っていますね。
逆に世界一危険な国についてはコチラ
世界一安全な国フィンランドをもう少し検証してみると
上のデータをもとに、世界一安全な国はフィンランドであるという情報を掲載しているサイトがいくつかあります。
しかし、このブログではそのような情報を単純に鵜呑みにせず、もう少し検証することを試みていますので、状況を見てみましょう。
上記のランキング結果は
- 組織犯罪(組織犯罪に対して企業がどの程度コスト負担をしているかという調査結果)
- 殺人率(人口10万人あたりの殺人数)
- テロ事件(事件の頻度と重大性による評価)
- 警察サービスの信頼性(警察の信頼性に関する調査調査)
の4つの指標が元になっています。
そのため、私達がすぐに思いつくような犯罪の発生件数等によって、単純に評価されていないことがわかります。
世界一安全な国を殺人から見ると・・
強盗やスリにあうのも嫌ですけど、安全面で絶対にあったほしくないのが命を取られること。
そこで、国際競争力レポート2018に掲載された「殺人率」のデータから、ランキング結果を見てみました。
コチラです。
(出典:World Economic Forum, Global Competitiveness Report 2018 security Homicide rate)
数値が小さい方が殺人率が低いことを示しています。
スコアが最高の100になっている国が10カ国となっています。
「安全」のランキングで10位以内に入っていた日本、シンガポール、香港がこちらでも10位以内に入っています。
第1位のフィンランドが見当たらない・・・と思っていたら、
(出典:World Economic Forum, Global Competitiveness Report 2018 security Homicide rate)
47 位でした。
ちょっと低いですよね。。
別の公開データを見てみましょう。
グローバルノート株式会社が諸外国の様々な統計データをもとにランキング化したデータを公開しています。
その中から2017年のデータをもとに、データがある174の国の世界の殺人発生率 国別ランキングがあります。
国連の犯罪調査統計(Crime Trends and Operations of Criminal Justice Systems -CTS)や各国の司法当局、国際刑事警察機構(ICPO、Interpol)のデータに基づいて作成されています。
こちらのデータを見ると、人口10万人あたりの殺人件数の数値では、
日本は174国中、良いという方で168位
数値として、0.24件
しかし、ニュースで報じられているとおり、毎年殺人事件があります。
それ以下が殺人件数として、数値が0になっている国が5つあります。
その国が
- バチカン
- リヒテンシュタイン
- モナコ
- アンドラ
- マン島
です。
以上の国がすべて安全!!って評価してしまいそうですが、内訳を見ると国によって違いがかなりありそうです。
マン島は2016年は0ですが、データが掲載されている2011年から2015年までは毎年殺人が発生しています。
2014年は3.59件があり、上のランキング結果は当てにならない??
一方、バチカンはデータのある2009年から2015年にかけて0件!
安全〜!!
モナコは2006年まで殺人件数が表示されていますが、それ以降は一部データはないものの、0件が続いています。
アンドラは2016、2017のデータが欠損しているのでビミョーですが、2012〜2015で0件
リヒテンシュタインは2017年のデータがありませんが、直近の2016、2015年は0件。
2〜4年ごとに殺人が発生してる感じです。
10万人あたりの殺人発生件数の推移だけを見ると、バチカンが一番安全そうです!!
ただし、1998年に以下のような事前があったようです!
ちなみに、コチラの結果でフィンランドは・・
(出典:グローバルノート 世界の殺人発生率 国別ランキング・推移)
と124位でした。
Knoemaという組織も各種データを整理した情報を公開しています。
こちらに掲載されている殺人事件の件数の推移はコチラ
(出典:kenoema)
安全の第1位であるフィンランドは、近年は大幅に件数が減ってきているのがよくわかります。
強盗の件数から見る安全性
別の指標で見てみましょう。
強盗の件数を見てみました。
knoemaから、国際競争力レポートで「安全」面でのトップ3の国(フィンランド、シンガポール、アイスランド)と日本の強盗の件数を比較してみました。
(出典:kenoema)
日本は他の国と比べてかなり多いですね。
シンガポールやアイスランドと比べるとフィンランドは数値が高い状態です。
そのため、強盗の発生件数をもとに比較すると、フィンランドは世界一安全とは言いにくい感じです。
テロ事件の状況
世界競争力レポートのデータから、テロ事件からのランキング結果を見てみましょう。
このランキング結果はスコア100がテロ事件発生が0で、スコア0が最も発生件数が多いという評価になっています。
(出典:World Economic Forum, Global Competitiveness Report 2018 security Terrorism incidence)
フィンランドは日本と同じ99.6というスコアとなっていますが、スコアが100という国が48もありました。
それらの国は相当安全と言えそうですよね。
フィンランドが安全と評価されている理由
以上のように、殺人、強盗、テロ事件の面で、フィンランドが特に安全であるわけではなさそうなんですが、世界競争力レポートでなぜフィンランドが1位になっているのか、もう少し見てみましょう。
以下は企業が組織犯罪に対してどのぐらいコスト負担をしているのかという評価です。
もう一つが警察への信頼度です。
この2つのスコアが2位以下の国とかなり開きがあるため、結果としてフィンランドがトータルのスコアが高くなっているようです。
ただし、この2つのランキング結果は統計データとは異なりますから、犯罪件数等の比較ではフィンランドでは必ずしも世界一安全とは言い切れない・・・と思われました。
世界一安全な国をこの視点で見ると
世界経済フォーラムによる国際競争力レポート2018には、フィンランドが世界一安全な国であるという評価結果が掲載されていました。
しかし、殺人や強盗、テロ等の発生件数を見ると、フィンランドが件数がぐっと低いというわけではありませんでした。
そこで、個人的には殺人件数の少ないバチカンが安全な場所かな・・・?と思いました。
しかし・・・外務省の資料によると、
バチカン内では,一般観光客が訪れるサン・ピエトロ広場,サン・ピエトロ大聖堂及びバチカン美術館で,スリ,置き引き等が発生しており,特に日本人を含むアジア人は狙われやすい傾向にあるため,注意が必要です。
(引用:外務省海外安全ホームページ 安全対策基礎データ バチカン)
とあります。
これを読むと、う〜ん、日本人は狙われやすいか〜、スリが発生・・と聞くとちょっと心配になりますよね。
ちなみにフィンランドについて外務省は
フィンランドは,治安が良い国と言われますが,旅行者をはじめ日本人が被害に遭うことも少なくありませんので,十分な注意を要します。
(引用:外務省海外安全ホームページ 安全対策基礎データ フィンランド)
特に,夏季や冬季の観光シーズンには,ヘルシンキなどの都市部において窃盗(置き引き・スリ)事案が多数発生しています。
とあり、やっぱり窃盗が結構あるということのようです。
身近なところでは窃盗やスリの不安が少ない国が安全と言えそうですよね。
ただ、殺人事件の件数やテロ発生件数が少ないのが治安の良さ。。と評価するのが良いのではないでしょうか??
まとめ
世界経済フォーラムが公表する世界競争力レポート2018によると、フィンランドが世界一安全な国であると言えそうでした。
外務省の安全対策基礎データを見ると、フィンランドを含め、2位のシンガポールや3位のアイスランドは治安は一般的に良いと評価されています。
しかし、殺人事件やテロ発生件数を見ると、必ずしもフィンランドは発生件数が少ないというわけではないということも分かりました。
それと、ランキングの上の国もスリや強盗等が無いわけでないため、海外に行く時はくれぐれも気をつけなければなりません。